目次
87%の営業マネージャーがプレイングに追われている——管理職になる前に知るべきこと
営業MGの87.3%がプレイングMG。実務と管理の二刀流の現実、AI時代の変化、「なるべきか」の判断基準をリアルに解説。
ハル
TL;DR
- 日本の営業MGの87.3%がプレイングMG。実務と管理の二刀流で部下育成と自己成長が後回しになる構造的問題
- AIが実務を肩代わりする時代、戦略・育成・組織設計に集中できるMGが本来のマネジメントへ回帰できる
- MG向き不向きを見極めて判断を。営業企画847万円・営業推進872万円とスペシャリスト職でも高年収は実現可能
この記事が役立つ状況
- 対象者: 営業マネージャー候補・現役プレイングMG・MG打診を受けた営業担当者
- 直面している課題: プレイング業務とマネジメントの両立で時間が足りず、部下育成も自分の成長も後回しになっている
- 前提条件: 自分のプレイング比率・採用評価権限の有無・AI活用環境を事前に把握できること
このノウハウをAIで実行するプロンプト
以下をコピーしてLLMに貼り付け、[ ] 内を自社の情報に書き換えてください。
あなたは営業組織のキャリア設計に詳しいアドバイザーです。
以下の前提で、私が営業マネージャーになるべきか判断してください。
【現状】
- 役職: [現在の役職]
- 営業歴: [年数]
- プレイング比率: [%]
- 部下の有無: [人数]
【打診内容】
- ポジション: [マネージャー職の内容]
- 採用・評価権限: [あり/なし]
- 数字責任: [個人/チーム/両方]
【自分の志向】
- 充実感を感じる場面: [自分で成果/人が育つ瞬間]
- 不安要素: [実務から離れる/採用権限がない 等]
以下を出力してください:
1. MG向き/不向きの判定と根拠
2. 受ける場合に事前確認すべき3項目
3. 断る場合の代替キャリア(営業企画・営業推進等)の選択肢
「ハル、マネージャーになって良かった?」
部下にそう聞かれたとき、正直に答えられなかった。
33歳でマネージャーになった。チームの売上責任を持ちながら、自分でも週3件以上商談に出てた。部下の育成しながら、上への報告しながら、自分のノルマも追ってた。
「マネージャーとは何か」を考える時間すら、なかった。
これ、俺だけじゃなかった。
87.3%という数字、ヤバくない?
リクルートワークス研究所が2019年に実施した調査(n=2,183)によると、日本の営業マネージャーの87.3%がプレイングマネージャーだ。
プレイングマネージャー(以下、プレイングMG)ってのは、部下のマネジメントをしながら自分自身も営業として数字を持つマネージャーのこと。
87%は異常な高さだ。欧米では「マネジメントと個人業績は分ける」のが普通で、30〜50%くらい。日本は突出して「管理職も数字を持つ」文化が根付いてる。
じゃあなんで87%になるのか。理由は2つ。
1つ目は人が足りない。MGポジションを作っても実務をこなす人手が足りなくて「あなたはMGだけど現場もよろしく」となる。
2つ目は文化。「背中で見せろ」「数字持たないと説得力ない」っていう日本の営業文化の中で、プレイングMGは「当たり前」として扱われる。
プレイングMGが組織に与えるリアルな弊害
「がんばれば両立できる」って思ってる人もいるかもしれない。でも、データと現場経験から言う。プレイングMGには構造的な限界がある。
チームの業績がMG個人に依存する
プレイングMGが自分の数字を追う時間を増やすと、部下への関与が減る。結果、チームの売上の大半が「MGの個人成績」で成り立つ状態になる。
これ、組織として致命的。MGが休んだら、転職したら、病気になったら——チームの業績が消える。再現性のない組織は、拡張も承継もできない。
部下育成が「後回し」になる
マネジメントの核心は「部下の成長を支援すること」。でも自分の業績プレッシャーがある中で、そこに時間を割くのはキツい。
「育成は大事、でも今は自分の案件が忙しい」が続くと、部下は「この会社では育たない」と感じて辞めていく。高い採用コストかけて入れた人材が定着しない原因、ここにあること多い。
自分自身が「成長しない」
MGになった本来の意味は、個人から組織への視点を持つこと。戦略の設計、採用の判断、評価制度の改善、チームカルチャーの醸成——これを学ぶ機会がプレイングで潰れる。
結果、「30代後半のプレイングMGが、そのまま50歳になる」っていうキャリア停滞が起きる。
AI時代のMG像:「本来のマネジメント」への回帰
ここに転換点が生まれてる。
AIが実務の一部を肩代わりし始めた今、プレイングMGの「実務」部分がどんどん自動化の対象になってる。
- 商談後のCRM入力・日報作成 → AI支援
- 提案書のたたき台作成 → 生成AI
- 市場データ・競合情報の収集 → 自動化ツール
- 顧客への定型フォローメール → MA連携
つまり、プレイングMGが「実務に使っていた時間」の一部を、マネジメントに回せるようになるということ。
AIを使いこなせるMGは、初めて「本来のマネジメント」に集中できる環境を手に入れる。
逆に「AIを使わず全部自分でやり続ける」MGは、AI活用してる競合に生産性で差をつけられる。
AI時代のMGに求められるのは「戦略を立て、人を育て、組織をデザインする力」。「自分が一番商談できる」じゃなくなっていく。
管理職になるべきか——判断基準
「MGにならないか」と打診された人に、判断の軸を出しておく。
MG向きの人
- 人が育つのを見るのが楽しい
- 数字の責任を「チームの数字」として持てる
- 仕組みを考えて人を動かすのが好き
- 自分が動かなくても成果が出る組織を作ることにワクワクする
MG向きじゃない人
- 「自分で動いて成果を出す」ことに最大の充実感がある
- 部下の失敗に巻き込まれるストレスがデカい
- 数字の責任はあるのに採用・評価の権限がない環境にいる
- 実務から離れてスキルが落ちるのが怖い
MG向きじゃないからって、キャリアが詰まるわけじゃない。
営業企画の平均年収は847万円、営業推進は872万円(JACリクルートメント実績値)。スペシャリスト職でも高年収は全然実現できる。「マネージャーにならないと年収上がらない」ってのは、今の時代に当てはまらない。
「とりあえずやってみる」の危険性
「なってみないとわからない」って言葉で、深く考えずにMGを受けた結果、2〜3年でメンタルを崩す人を俺は何人も見てきた。
MGになった後に「向いてなかった」と気づいても、元の担当職に戻るのは社内政治的に難しいことが多い。慎重に判断する価値がある。
「なった後」に備えておくべきこと
もしMGになる道を選ぶなら、事前にやっておくことがある。
確認すること
- 自分のプレイング比率はどのくらいか(上長に聞こう)
- 部下の採用・評価権限が自分にあるか
- マネジメント専任に移行できる条件は何か
準備すること
- 部下一人ひとりのキャリア志向を把握する時間を最初に確保する
- チームの数字の「分解」ができるようにする(誰がどの指標を動かすか)
- 自分が担当する案件を「段階的に引き継ぐ計画」を作っておく
プレイングMGとしてスタートしても、「マネジメント専任に移行するロードマップ」を持ってるかどうかで、1〜2年後に大きく差が出る。
最後に——マネージャーという役割の本質
俺がプレイングMGとして最も後悔してること。それは「部下の一人の転職を止められなかった」ことだ。
その部下は本当に優秀だった。でも俺が忙しすぎて、彼が何を求めてるかを把握できてなかった。退職を告げられて初めて気づいた。
マネージャーの本来の仕事は、部下の可能性を引き出して、組織が自走できるようにすること。それを「プレイングで忙しいから」って後回しにし続けた結果が、あの喪失だった。
管理職になるかどうか悩んでるなら、「自分はこの本来の仕事をやりたいか」を、まず問うてほしい。
年収より、役職より、その答えが一番大事だ。
あわせて読みたい
- 営業マネージャーになるべきか、プレイヤーを続けるべきか——判断基準を整理する
- ISマネージャーへの昇進——プレイヤーからの脱却に必要な3つの能力
- 営業キャリアの地図——20代・30代・40代でやるべきことが違う理由
- フィールドセールスが燃え尽きる本当の理由——外発的動機から内発的動機へ
参考文献
- リクルートワークス研究所「プレイングマネージャーの実態と課題」(2019年、n=2,183)
- JACリクルートメント「営業職種別年収実績データ」(2024年)
- Salesforce「State of Sales(第6版)」(2022年)— AIと営業組織変革の関係
- パーソルキャリア「営業マネージャーのキャリア意識調査」(2022年)
よくある質問
Q管理職になると年収は上がりますか?
Qプレイングマネージャーを避けるには転職するしかないですか?
Q管理職を『断る』ことはキャリアに悪影響ですか?
関連記事
エンタープライズ営業の年収1,000万超——大型商談に必要な3つの能力
エンタープライズ営業は年収1,000万超が珍しくない。大型商談に求められる3つの能力と、普通の営業との根本的な違いをデータで解説する。
東京vs福岡vs名古屋——営業職の地域年収格差は本当に大きいのか
東京の営業年収は450〜600万円、福岡は350〜500万円。でも物価・家賃で補正すると実質差は縮まる。地方でも年収を上げる方法とリモート時代の戦略を解説。
なぜ営業は年収が上がらないのか——転職理由1位『給与が低い』の構造を読む
転職理由1位は『給与が低い』25.5%。なぜ営業は頑張っても年収が上がらないのか。業界・商材・会社の3つの天井と、今からできることを解説。
ハル
35歳営業企画マネージャー
テレアポ300件/日の時代から、AI活用で月次戦略を回す立場へ。どん底を知っているから、リアルな話しかしない。