目次
タックマンモデル|チームの4フェーズと各段階のマネジメント実践
タックマンモデル(形成期・混乱期・規範期・達成期)を解説。チームの発達段階を正確に診断し、各フェーズで効果的なマネジメントを実践するための具体的な方法を紹介します。
渡邊悠介
TL;DR
- タックマンモデルはチームが形成期→混乱期→規範期→達成期の4段階を経るという理論である
- 各フェーズで指示型・コーチ型・サポート型・委任型と異なるマネジメントが必要になる
- 段階の誤診断は機能不全や自律性喪失を招くため、現状診断が出発点となる
この記事が役立つ状況
- 対象者: チームを率いるマネージャー・リーダー
- 直面している課題: 自チームがどの発達段階にあるか診断できず、画一的なマネジメントで機能不全や対立放置に陥っている
- 前提条件: チームメンバーとの1on1や対話の場を持てる権限と、フェーズに応じてマネジメントスタイルを切り替える柔軟性
このノウハウをAIで実行するプロンプト
以下をコピーしてLLMに貼り付け、[ ] 内を自社の情報に書き換えてください。
私は[チーム名/役割]のマネージャーで、メンバー[人数]名のチームを率いています。
現状:
- チーム結成からの期間: [期間]
- 観察される状態: [対立の有無/本音の出方/自律性/生産性など]
- 直近の課題: [具体的な課題]
タックマンモデル(形成期・混乱期・規範期・達成期)に基づき、以下を教えてください:
1. 現在のチームはどのフェーズにあるか、判断根拠とともに診断
2. そのフェーズで私が今すぐ取るべきマネジメントスタイル(指示型/コーチ型/サポート型/委任型)と具体的アクション3つ
3. 次のフェーズへ移行するためのチェックポイントと避けるべき落とし穴
タックマンモデルとは——チームの成長には「順番」がある
結論から言えば、タックマンモデルはすべてのチームが「形成期→混乱期→規範期→達成期」の4段階を経て成熟するという理論であり、各フェーズで異なるマネジメントが求められる。
心理学者ブルース・タックマン(Bruce Tuckman)が1965年に提唱し、1977年に「解散期」を加えてモデルを拡張したこのフレームワークは、今日もチーム開発の基礎理論として世界中で活用されている。
マネージャーにとってこのモデルの最大の価値は「チームの状態を正確に診断し、その段階に合ったアプローチを選べること」だ。混乱期のチームに達成期のマネジメント(委任)を行うと機能不全に陥り、達成期のチームに形成期のマネジメント(細かい指示)を行うと自律性が損なわれる。
4つのフェーズの詳細
フェーズ1:形成期(Forming)
特徴:チームが結成されたばかりで、メンバーが互いを探り合っている段階。表面上は穏やかで礼儀正しい。
- メンバーは役割・目標・期待値を把握しようとしている
- 上司への依存度が高く、「どうすればいいか」を待つ傾向がある
- 本音が出ず、表面的な合意が多い
- 個人のモチベーションは比較的高い(期待感)
マネージャーの役割:指示型(Directing)
形成期のチームに最も必要なのは、明確な方向性と構造の提供だ:
- チームのゴール・役割・ルールを明確に定義・共有する(GRPIのG・Rを整える)
- 一人ひとりと1on1を行い、期待値を双方向で確認する
- チームの行動規範・意思決定プロセスを設計する
- 「質問していい」「間違えていい」という安心感を言葉で伝える
チェックポイント:全メンバーがチームの目標・自分の役割・期待されることを自分の言葉で説明できるか?
フェーズ2:混乱期(Storming)
特徴:チームの現実が見え始め、期待とのギャップから対立が生まれる段階。最もマネジメントが難しいフェーズ。
- メンバー間の意見の対立・摩擦が増える
- リーダーシップや権限への不満が表面化する
- 個々のやり方・価値観の違いが顕在化する
- 生産性が一時的に低下することが多い
- グループ内でのサブグループ形成が起きやすい
重要な認識:混乱期は失敗ではなく、チームが本物の協働に向かう必要なプロセスだ。対立を「なかったこと」にしようとするマネージャーのチームは混乱期が長期化する。
マネージャーの役割:コーチ型(Coaching)
- 対立をオープンに取り扱い、建設的な対話の場を作る(コンフリクトマネジメント)
- 個別1on1で各メンバーのフラストレーションを丁寧に聞く
- チームの目標・役割の再確認と合意(Goalsのリフレッシュ)
- 小さな成功体験を意図的に作り、チームの自信を育てる
- 心理的安全性を高める行動を継続する
やってはいけないこと:
- 対立を強権的に鎮圧する(表面だけ静かになり、関係の質が下がる)
- 「みんなでうまくやれ」と放置する
- 強いプレッシャーをかけて表面的な合意を作る
チェックポイント:メンバーが本音で意見を言えているか?対立が表面化しているか?(表面化していない混乱期の方が危険)
フェーズ3:規範期(Norming)
特徴:チームとしての規範・協働のルールが自然に形成される段階。メンバー間の相互理解が深まり、協働が機能し始める。
- メンバーが互いの強みと弱みを理解し、補い合える
- チームとしての意思決定ができるようになる
- フィードバックを受け入れる土壌ができている
- 「チームとしての意識」が芽生える
- 生産性が回復・向上する
マネージャーの役割:サポート型(Supporting)
- 自律的な協働を促すため、細かい指示から引く
- チームのプロセス・ルールをメンバー主導で改善させる
- 大きな意思決定には関与しつつ、日常業務はメンバーに任せる
- フィードバック文化の定着を支援する
- 成長・学習の機会(ストレッチアサインメントなど)を提供する
チェックポイント:チームが自律的に問題を発見・解決できているか?マネージャー不在でも機能するか?
フェーズ4:達成期(Performing)
特徴:チームが高いパフォーマンスを発揮し、複雑な問題も自律的に解決できる成熟段階。
- チームのミッションに全員がコミットしている
- 役割・プロセス・関係性がすべて機能している
- 問題が起きても自律的に解決できる
- メンバー個々の成長とチームの成果が両立している
- 革新的なアイデアや改善提案がチームから自然に生まれる
マネージャーの役割:委任型(Delegating)
- ビジョン・方向性の設定に集中する
- 戦略的な意思決定と外部との橋渡しに注力する
- 日常業務の意思決定はチームに完全委任する
- チームメンバーの次のキャリアステップをサポートする(人材開発)
- 新しいチャレンジでチームに適度な刺激を与え続ける
注意点:達成期のチームも放置すれば停滞する。「さらに上を目指す」「新しいチャレンジを与える」という働きかけが必要だ。
フェーズ5:解散期(Adjourning)
タックマンが後から追加したフェーズ。プロジェクト終了・組織改編・メンバー転出などでチームが解散するとき、メンバーはさまざまな感情を経験する。この移行を丁寧にマネジメントすることで、次のチームへの良い影響を生む。
フェーズ診断の実践方法
以下の5つの質問でチームのフェーズを概ね診断できる:
| 質問 | 形成期 | 混乱期 | 規範期 | 達成期 |
|---|---|---|---|---|
| メンバー間で率直な意見の対立が起きているか | ほぼない | 多い | 建設的 | 自律的に解決 |
| マネージャー不在で機能するか | 難しい | 不安定 | ほぼ可能 | 完全に可能 |
| メンバーが互いの強みを理解しているか | あまりない | 部分的 | 理解している | 活用できている |
| チームとして問題解決できるか | 難しい | 対立が生じやすい | できる | スムーズ |
| メンバーが自発的に改善提案するか | ほぼない | 不満として | 提案として | 主体的に |
チームの退行——達成期から戻ることがある
重要な認識として、タックマンモデルは一方向に進むだけではない。以下の変化があると、達成期のチームが混乱期に戻ることがある:
- 新メンバーの加入(特に役職・影響力が大きい場合)
- 目標や戦略の大きな変更
- 外部環境の急激な変化(市場変化・競合の動向)
- キーパーソンの離脱
退行は恥ずかしいことでも失敗でもなく、チームの変化に対する自然な反応だ。マネージャーは「また混乱期のアプローチをとる」と柔軟に対応する。
営業チームへの具体的な適用例
新しい営業チームを結成した場合(形成期):
- 最初の2週間で個別1on1を全員と実施
- チームの目標数字と各メンバーの役割・KPIを共有するキックオフMTG
- 情報共有・報告のルール(日次報告・週次MTGの設計)を明示
目標未達が続くチームで対立が増えている(混乱期):
- 月2回の1on1でフラストレーションを丁寧に聞く
- チームMTGで「何が機能していないか」を安心して話せる対話の場を作る
- 短期的な数字プレッシャーを一時的に緩め、プロセス改善に集中する期間を設ける
GRPIとタックマンモデルの組み合わせ
GRPIフレームワークとタックマンモデルを組み合わせると、各フェーズで何を優先すべきかが明確になる:
- 形成期:G(目標)とR(役割)の明確化を最優先
- 混乱期:G(目標の再合意)とP(プロセスの設計)に注力
- 規範期:P(プロセスの改善)とI(関係性の深化)
- 達成期:全要素が自律的に機能するよう環境を整える
まとめ:フェーズに合ったマネジメントが最速の成長を生む
タックマンモデルの本質は「チームの成長には順番がある」という事実だ。混乱を避けようとせず、各フェーズを丁寧に乗り越えることが、最も速く達成期に到達する道だ。
「なぜうちのチームはうまくいかないのか」と悩んでいるマネージャーの多くは、フェーズの診断ができていないか、そのフェーズに合わないマネジメントをしている。まず今日、「自分のチームは今どのフェーズにいるか」を診断することから始めましょう。
参考文献
- Tuckman, B. W. (1965). Developmental Sequence in Small Groups. Psychological Bulletin, 63(6), 384-399.
- Tuckman, B. W., & Jensen, M. A. C. (1977). Stages of Small-Group Development Revisited. Group & Organization Studies, 2(4), 419-427.
よくある質問
Qタックマンモデルの各フェーズはどれくらいの期間続きますか?
Q混乱期のチームに対して何をしてはいけませんか?
Q今のチームがどのフェーズにいるか判断する方法はありますか?
Q達成期のチームはマネジメント不要ですか?
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渡邊悠介
代表取締役 / 株式会社Hibito
リクルート、MagicMomentを経て現職。幅広い営業経験と、営業推進、新規事業開発、採用の観点から企業の急成長を営業支援で支える。営業組織コーチング・個人コーチングを通じて、営業パーソンの主体性と成果を最大化する。「全ての人が自分の未来を自分の手で描ける社会」の実現をミッションに掲げる。
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